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タイビバ、記録的な5500億円ベトナムM&A取引で外資規制回避方法の実証

タイビバ・サベコ投資ストラクチャーの賛否

タイビバ系関連会社が、法律上「ベトナム国内投資家」としてサベコの49%外国人保有比率上限を突破しました。

ベトナム商工省は、2017年12月18日にサイゴンビール・アルコール飲料総公社(サベコ)普通株の過半数を競売しました。サベコのベトナムビール市場シェアが40%強です。タイ・ビバレッジ(タイビバ)系のベトナム・ビバレッジ社が、このラウンドで放出予定のほぼ全株53.59%を110兆ベトナムドン(約5,500億円)で取得し、ベトナムにとって記録的な取引となりました。

Sabeco's stock chart世界のビール会社から高い関心が寄せられましたが、国内外を含め、入札に参加した企業はタイビバ以外が出ませんでした。(一方、入札にはベトナム人個人投資家が一人参加しました。)その理由の一つは、売却額が高額だったことです。このような売却を予期してよく起きることですが、商工省が競売日を公表した前の6ヵ月の間にサベコの株価が約75%上昇していました。ベトナム・ビバレッジが落札した価格は、1株32万ベトナムドンで2017年度株価収益率のほぼ47倍となります。株価が取引完了後に急落し、過去数週間25万5000ベトナムドン前後の狭帯域で取引されています。

価格に加えて、国際投資家がためらった他の主な理由は、サベコの外国人保有比率上限と、競売公表、入札登録そして競売日のタイミングの組み合わせでしたかもしれません。タイビバでさえが、2017年12月22日に上場しているシンガポール証券取引所(SGX)への報告書で、応札登録のスケジュールが「極めて過密」であり、事前に正式な株主の承認を得ることなく、資金調達の点でも妥協しなければならなかたことを明らかにしました。タイミングは非常に重要ではありますが、ここではサベコの外国人保有比率上限及びタイビバが使用した法的構造をもう少し詳しくみていきます。まずストラクチャーをご理解し、これからの投資案件の準備、そして厳しい締切りに整えるために役立つと願っています。

タイビバ・サベコの投資ストラクチャー

タイビバのサベコに対する出資の法的構造(ストラクチャー)を公開された情報に基づいて以下の表でまとめました。弊所はこの構造をベトナムの現投資法が施行された2015年から提案してきました。弊所の解釈は、投資法第23条により、外国人保有比率51%未満のベトナムで登録されている会社の子会社は、国内投資家と同じ条件で投資活動を行うことができます。この解釈の有効性が今回のサベコ案件により確立され、重大なディールでも、上記のような子会社には外資規制が適用されません。

ThaiBev-Sabeco structure chart

ここで、ベトナム・ビバレッジは、Vietnam F&B Alliance Investment Joint Stock Company(ベトナムF&B) の全額出資子会社となります。タイビバの香港で登録されている間接子会社BeerCo Limited(ビールコ)が、ベトナムF&B 株の49%を保有しています。ビールコ が保有するベトナムF&B株は51%未満で、 ベトナムF&Bの子会社であるベトナム・ビバレッジには、外国人投資家の外資規制が適用されません。従って、ベトナムF&B は、サベコ株を国内投資家として取得することができました。

サベコの外国人保有比率上限

外国人保有比率上限が適用されるサベコ株の過半数を取得する為には、タイビバは、上記の国内企業構造を選択したと発表しました。ベトナム証券規制により、外国投資家が原則としていわゆる「条件付き」事業内容を登録している公開会社の合計49%までしか保有することができません(国際条約や国内法によって別途に定めがない限り)。

条件付き事業内容とは、追加条件(特別な事業ライセンスなど)の対象となる活動です。ベトナム地場企業でよくみられますが、サベコも事業内容を豊富に登録していました。その中には、例えば、流通及び不動産取引などの条件付き活動もあります。(ベトナムでの会社は、全ての事業活動を登録しなければなりません。)事業内容を大幅に再構築しない限り、サベコの外国人投資家への売却は制限されていました。合計49%という上限でしたが、外国人投資家が既にサベコ株の10.4%(ハイネケン5%を含む)を保有していたことを考えると、今回売却対象の54%弱のうち外国人投資家が購入できる上限は39%未満でした。しかし、タイビバ傘下のベトナム・ビバレッジは国内投資家として過半数の株式を取得することができました。

タイビバによるサベコのコントロールはどの程度か?

サベコに対するタイビバのコントロール・レベルは大きな課題です。ベトナム・ビバレッジは、サベコ株の過半数54%を保有しています。但し、ベトナム・ビバレッジの100%親会社がベトナムF&B で、タイビバの子会社ビールコ がベトナムF&Bの少数株主に過ぎません。

政治などをさておき、純粋に法律観点から会社の決議採択要件をみてみましょう。株主総会の普通決議は原則として、総会に出席した株主全員の議決票総数の少なくとも51%を代表する株主の賛成で採択されます。特別決議の場合は、65%以上が必要です。同様に、取締役会の決議は、出席した取締役の多数が賛成するれば採択されます。ベトナムの企業法により、会社が定款で決議採択のためにより高い割合を定めることができます。しかし、公開されている最新の定款により、サベコは標準的な決議採択割合(株主総会51%及び65%、また、7名の取締役会で51%)を設定していました。従って、ベトナム・ビバレッジは、(関連当事者間取引を除き)サベコの株主総会普通決議を一方的に採択し、取締役候補者を選任することができます。

但し、ベトナムF&B株 の少数49%しか保有していませんので、タイビバはベトナム・ビバレッジを完全にコントロールすることはできない可能性があります。ベトナム人個人株主二人が51%を保有しています。2017年12月22日付タイビバのSGX報告書によると、『ベトナムF&Bのベトナム人投資家一人は、ベトナムにおける事業家で、ベトナムで弊社のアルコール飲料販売会社と同じグループの一員です。もう一人のベトナム人投資家は、〔サベコの〕買収に関連する助言を提供し、弊社の現地における事業コンサルタントです。』

上記のストラクチャーは、ベトナムにおける名義借り会社(ノミニー会社)と似たような潜在的問題をもたらします。要するに、タイビバのビールコ は、ベトナムF&B のベトナム人株主二人をどの程度コントロールすることができるでしょうか?

  • ビールコ 及びベトナム人株主は、ビールコ に更なるコントロール権を与える保留事項などの権利保護措置を含む適切な株主間契約を締結し、ベトナムF&B の定款を承認したか?(ベトナム企業法により、政府の承認を受け、発起株主のみが議決権優先株式を掌握でき、また、その有効期限が最大3年間に限られている。)
  • サベコ及びベトナム・ビバレッジの配当金はどうなるか?ベトナム人株主二人は51%をもらえるのか?(配当優先株主には議決権がないため、ビールコには役立たないと考えられる。)
  • タイビバはベトナム人株主の株式を買収することが可能か?いくらで?(ベトナムF&Bの市場価値は今やとてつもなく高くなっているはず。)
  • 彼らが株式を競合へ売却したらどうなるか?
  • もし争う場合、裁判所は株主間の約束を認め、執行するのでしょうか?(ベトナムでは裁判所判決の30%未満しか執行されず、 ましてや外国仲裁判断の承認及び執行。)

ベトナムF&Bの資料が公表されていませんので、全ての疑問を確かめることができませんが、このタイビバ・サベコ出資構造にはいくつかの潜在的なリスクがあります。

新投資法及び国有企業株式化の新管理委員会

ベトナムは、施行から3年間もかからず、投資法を再び改正しようとしています。最初に公開された草案には、M&Aの事前承認を含むM&A活動に影響を与えうる改正条項が含まれています。上記のタイビバ構造は、将来そのまま採用できない可能性があります。新法が早ければ2019年施行される予定です。従って、のちのHabeco、PV Power、PV Oil を含む後の国有株式の放出や商工省が保有するサベコの残り35%の売却は、2018年内にクロージングすれば、上記のストラクチャーを適用するチャンスがあるかもしれません。

その上、省々及び国家資本投資公社(SCIC)から権限を引き継ぐ、これから国有株式の放出を管理する新な国家資産管理委員会を設立する予定です。投資家にとって、今まで交渉したお話相手が変わる可能性があります。

タイビバ・サベコ投資ストラクチャーの賛否

+ 外国人投資家が国内投資家と同じ条件で、
投資活動に参加できる。

- その投資対象を完全に保有せず、
コントロールが限られている。

詳細につきましては、オットー マンフレッド 倉雄(motto@duanemorris.com) 、又はドウェイン・モリス法律事務所で通常連絡を取られている弁護士へご連絡ください。

〈ご注意〉こちらの記事は皆様に情報をお届けする目的でのみ作成・掲載しておりますので、法的なアドバイスとして提供・構成することを目的としておりません。詳細につきましては、当事務所の注意書きをご一読下さい。

ベトナム物流規制~新政令第163号~大きな変更点なし

メディア報道と異なり、ベトナムの新物流規制は外国人投資家に対して市場を更に開放せず、新たにeコマース規制の順守要件を明記しています。

2018年2月20日施行のロジスティクス・サービスに関する政令第163/2017/ND-CP号により、旧政令第140/2007/ND-CP号が効力を失います。多くの外国人投資家は物流分野において、更なる明確化及び市場アクセスを望んでいました。少なくても書面上、新政令第163号は外国人投資家に新たな権利を付与するものではなく、実務上不明確な点が新しく出てくるかもしれません。一方、最も興味深い新条項は、物流プロセスのデジタル化に影響を及ぼす可能性があります。

ベトナムがWTOに加盟した2007年に発行された政令第140号は、ベトナム基準からみれば、非常に古い規制です。その後、法改正が大分進み、物流部門の多くの事業活動を含む、ほとんどのサービス部門が外国人投資家に開放されました。新政令第163号のいくつかの要点を以下に述べます。

I「ロジスティクス」の再定義

外国人投資家(及び外国投資を受け入れたいベトナム企業)は、ベトナムで営む予定の各事業活動について外資規制などの条件が適用されるかどうかを細かく確認しなければなりません。旧政令第140号は、2005年の商法第233条を参照し、「ロジスティクス」を定義していました。新政令第163号の3条は、以下のロジスティクス・サービスを規制しています。

政令第163号3条におけるロジスティクス・サービス

  1. コンテナ積降サービス(空港でのサービスを除く)
  2. 海運補助サービスの一環としてのコンテナヤード・サービス
  3. 全ての運送手段の補助サービスの一環としてのコンテナ・サービス
  4. 配達サービス
  5. 貨物運送代理サービス
  6. 税関仲介サービス(通関サービスを含む)
  7. 次の活動を含むその他のサービス:運送証券検査、貨物運送仲介サービス、貨物鑑定、サンプリング採取及び重量判定、貨物の受取、受入サービス、運送証書準備サービス
  8. 貨物の保管、回収、仕分けの管理や貨物の分類、配送を含む卸売及び小売補助サービス
  9. 海運サービスの一環としての貨物運送サービス
  10. 内陸水路運送サービスの一環としての貨物運送サービス
  11. 鉄道運送サービスの一環としての貨物運送サービス
  12. 道路運送サービスの一部としての貨物運送サービス
  13. 空輸サービス
  14. 複合運送サービス
  15. 技術分析、検定サービス
  16. その他の運送サポートサービス
  17. 物流サービス提供者が商法の基本原理に従って顧客との合意に基づく提供するその他のサービス

「配達サービス」及び「その他の運送サービス」に関して、第3条に詳細が定義されていません。政令の作成者はおそらく、ベトナムのWTOサービス・セクター・コミットメント(WTOSSC)で使われている国連の中央生産物分類(CPC)コードと比較できるベトナム標準産業分類システム(VSIC)を参照することを意図していました。例えば、VSIC 5230の「配達サービス」には、「貨物運送サービス」でカバーされていない郵便物および小包の配送が含まれます。 VSIC 5320 は、「速配サービス」を含むWTOSSCの「クーリエサービス」(CPC 7512 courier services)に類似しています。新政令第163号の「配達サービス」及びWTOSSCの「クーリエサービス」は外国人保有比率の制限がありません。これは外資系宅配便業者にとって、良いニュースでしょう。

II.外国人保有比率の制限(FOL)について変更なし

WTOSSC及び旧政令第140号には、FOL及び市場開放のスケジュールが既に規定されていました。新政令第163号には、この点について変更点がみられません。また、新政令は様々な貨物関連サービスのFOLなどの基本条件を定めていますが、旅客運送サービスについては何も語っていません。

以下の表は、物流部門における主要な外国人保有比率の上限をまとめたものです。簡略化した表であり、それらの業務に追加的条件が適用されます。その上、外国人投資家には更なる条件が適用されます。例えば、最大49%の外国資本を持つ海上貨物運送会社は、ベトナムで船舶を登録し、ベトナム国旗を掲げられますが、非ベトナム人の船員は最大3分の1のみとなります。船長及び第一副船長はベトナム国民ではなければなりません。政令第163号の他の条件と同様に、これは新しいものではなく、既にWTOSSCで定められていました。

ベトナムの物流部門における外国人保有比率の制限(FOL)

WTOSSC 政令第163号
CPC サービス分類 FOL FOL
742 倉庫 100%
748 貨物運送代理(貨物輸送サービスを含む) 100%
749 貨物所有者に代わり、船荷証券検査、貨物仲介、貨物検査、サンプリング及び計量、商品の入荷受取サービス、運送書類作成 99% 99%
7211 海運 (国内の顧客輸送) 49%
7212 (a) 海運 (国内の貨物輸送)ベトナム国旗船舶 49% 49%
7212 (b) 海運(国内の貨物輸送)外国船舶 100% 100%
7221 内陸水路運送(顧客運送) 49%
7222 内陸水路運送(貨物運送) 49% 49%
7111 鉄道運送(顧客運送) Unbound
7112 鉄道運送(貨物運送) 49%
7121 + 7122 道路運送(顧客運送) 49%
7123 道路運送(貨物運送) 51% 51%
No CPC 通関 99%
No CPC コンテナヤード 100%
7411 コンテナ積降(空港でのサービスを除く) 50% 50%
621, 61111, 6113, 6121, 622, 631 + 632 流通(輸出入、販売代理店、卸売、小売) 100%

IIIeコマース条項、物流サービスのデジタル化

政令第163号で新たに挙げられていることの1つに、ベトナム電子商取引規制の順守要件があります。第 4条2項により、インターネット、モバイル、またはその他の「オープン・ネットワーク」を介して電子的に業務の一部または全部を行う物流事業は、電子商取引(eコマース)の規制に従う必要があります。ベトナムの主要なeコマース規制は、政令第52/2013/ND-CP号です。政令第52号では、eコマース・サービス事業者の商工省への通知または登録が義務付けられています。eコマース事業者は、政令第52条及びその他の法律と規制に従い、個人情報及び消費者の利益を保護しなければなりません。しかし、これらのeコマース要件も、政令第163号の施行前にeコマース活動を行っていた物流サービスにも既に適用されていたと考えられます。

第4条2項は非常に広義に解釈され、例えば、Eメール、メッセージ・アプリ、ウェブ会議、企業のウェブサイト、ソーシャルネットワーク(SNS)のあらゆる業務通信にも適用される可能性が当然あります。しかし、第4条2項が「オープン・ネットワーク」を利用するデジタル・サプライチェーンやスマート倉庫技術などの最新のデジタル社内プロセスにも適用されるかどうかが課題です。「オープン・ネットワーク」がベトナム法で定義されていらず、様々な文献も、その意味について意見が分かれています。例えば、ある技術的な記事により、「オープン・ネットワークは今日・・・ユーザーの選択」を意味するとし、法的観点からはあまり参考にはなりません。IT専門家が「オープン・ネットワーク」の意味ついてにはっきりしないかぎり、物流活動の規制及びそのライセンス発行などを担当しているベトナム当局の官僚も同様に混乱し、4条2項の解釈が様々で不明確になるになる可能性が大きいです。

【結論】新政令第163号は、ベトナムの物流部門における外国人投資家の市場アクセス権を拡大せず、eコマース規制を遵守する明確な要件を導入しています。

詳細につきましては、オットー マンフレッド 倉雄(motto@duanemorris.com) 、又はドウェイン・モリス法律事務所で通常連絡を取られている弁護士へご連絡ください。

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『ベトナム国有企業M&A~コーポレートガバナンス』2017年11月16日プレゼン資料

2017年11月16日に日本アセアンセンターが開催した「ベトナム政府との対話~国有企業の株式化とM&A~in 東京」と題したセミナーの私のプレゼン資料です。

トピック

「ベトナム国有企業M&A~コーポレートガバナンス」

  1. 機関設計
    株主総会、取締役会、社長など
  2. 少数株主の権利保護
    株式譲渡制限に関する定款・契約条項

ダウンロードリンクは以下です。

171116 Vietnam SOE and M&A-ASEAN Centre-Otto-JP.pdf

ご質問等ございましたら、オットー(MOtto@duanemorris.com)または弊所で通常連絡を取っている担当弁護士までご連絡ください。

Organization Chart of a Vietnamese SOE

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Slides from my recent presentation in Tokyo on “Vietnam State-Owned Enterprises and M&A – Corporate Governance” organized by ASEAN-JAPAN Centre on 16 November 2017.

171116 Vietnam SOE and M&A-ASEAN Centre-Otto-JP.pdf

For more information , please contact Manfred Otto at MOtto@duanemorris.com or any other lawyer you are regularly communicating with at Duane Morris.

Disclaimer: This post has been prepared and published for informational purposes only and is not offered, nor should be construed, as legal advice. Each case should be analyzed individually with the support of competent legal counsel. For more information, please see the firm’s full disclaimer.

Vietnam’s State-Owned Enterprises Equitisation and M&A – 6 July 2017 Presentation Slides

Slides from our recent presentation in Singapore on “SOE Equitisation and M&A – Recent Trends and Corporate Governance”.

Vietnam SOE Equitization and M&A-6 July 2017-Otto-ENG

For more information , please contact Manfred Otto at MOtto@duanemorris.com or any other lawyer you are regularly communicating with at Duane Morris.

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先日シンガポールで開催した「ベトナム国有企業の株式化とM&A~最近の動向とコーポレートガバナンス」についての日本語版プレゼン資料です。

Vietnam SOE Equitization and M&A-6 July 2017-Otto-JP

ご質問等ございましたら、オットー(MOtto@duanemorris.com)または弊所で通常連絡を取っている担当弁護士までご連絡ください。

 

ベトナムからのロイヤリティー収入における外国契約者税、5~10%VATの追加課税も

ドウェイン・モリス法律事務所
オットー マンフレッド 倉雄

ベトナムの外国契約者税(FCT)に関する当局の解釈が変わり、商標権使用料所得に510%の影響を与える可能性があります。

ベトナム国外企業のベトナムからのロイヤリティ収入は、ベトナム側の契約当事者は、法人所得税(CIT)10%を源泉徴収しなければなりません。今までの通説により、ロイヤリティ収入は、付加価値税(VAT)の対象ではありませんでした。

最近、ベトナム財務省は、ベトナムの契約者に対し商標使用権を譲渡をする場合は、CIT 10に加え、みなしVAT 5(控除法では10%)も源泉徴収する方針を示しているオフィシャル・レター10453/BTC-CST号及び 15888/BTC-CST号を発行しました。オフィシャル・レターは拘束力を持った法律ではありませんが、当局に対する有力な施行ガイダンスです。適用されるかどうかを確実に分かるためには、管轄税務当局へ申請をする必要があります。

ロイヤリティー税率を10%(またはそれ以下)に限定する租税条約は、原則としてVATに適用されず、外国契約者税のCIT部分のみに適用されます。

ベトナム契約者が外国契約者の代わりに正確なVAT額を申告し、そして、その他の条件を満たしている場合は、VATの払い戻しが可能です。但し、ベトナム当事者が十分なVATを申告しなかった場合は、その限りではありません。

上記のオフィシャル・レターは、フランチャイズ契約及びその他の商標ライセンスを含む契約に当然適用される確率が高いと考えられます。しかし、一部の税務当局は、商標権に関するFCTをその他の知的財産権(例えば、ソフトウェア・ライセンス契約における著作権)にも適用する可能性があります。

具体的に適用される税率については税理士と相談することをお勧めします。当事務所はベトナム契約者との契約を適切に作成し、未納税に対する罰金又は予想外のベトナムからのロイヤルティ収入低下のリスクを減らすことができます。

詳細につきましては、ジャイルズ・クーパーオットー マンフレッド 倉雄、または当事務所で通常連絡を取っている担当弁護士までご連絡ください。

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明確化されたベトナムの物流会社に対する外国投資及びM&A

ベトナムでの外資系物流会社の設立と外国人によるベトナム人パートナーからの持分取得は、より明確なルールで進めることが可能となりました。ロジスティクス分門は、国際条約とベトナム国内法の施行の間に矛盾が生じて、多くの方々を悩ませていました。一方、ベトナム商工省(MOIT)は最近、より明確な施行規則(通達第 9911/BCT-KH号)、そしてホーチミン人民委員会やベトナム・ビジネス・フォーラム(VBF)に対する返答を含む、複数の公式文書を発行しています。同時に、日系物流会社はベトナムで100%外資で子会社を設立しました。

国際条約は国内法に優先する。MOITからのコメントもその基本原則を繰り返しています。従って、殆どの場合にはまず、ベトナムのWTOサービス・セクター・コミットメント(WTOSSC)を参考します。それにより、倉庫及びフォワーダーのような事業活動は100%外資での市場参入が可能ですが、コンテナ積降などの分野ではベトナム人の資本参加が必要です。

ベトナム流通分野の外資規制(WTOSSC)
CPC サービス分類 外国人保有比率
の上限
742 倉庫 100%
748 貨物運送代理 100%
749の一部 運送証券検査、貨物運送仲介、貨物鑑定、サンプル採取、重量判定、貨物の受取、受入、運送証明準備 99%
7211 海運(国内運送を除く顧客運送) 49%
7212 海運(国内運送を除く貨物運送) 51%
7221 内陸水路運送(顧客運送) 49%
7222 内陸水路運送(貨物運送) 49%
7111 鉄道運送(顧客運送) 未公約
7112 鉄道運送(貨物運送) 49%
7121 + 7122 道路運送(顧客運送) 49%
7123 道路運送(貨物運送) 51%
No CPC 通関 99%
No CPC コンテナヤード 100%
7411 コンテナ積降(空港でのサービスを除く) 50%
7512 配達(速配サービス) 100%
621, 61111, 6113, 6121, 622, 631 + 632 流通(輸出入、販売代理店、卸売、小売) 100%

M&Aにおける外国人買い手としては、購入価格やその他の条件に加え、絶対に不可欠なものと任意な事業内容をリストアップし、対象企業への出資比率の最良のケース及び許容範囲を考慮し区別しておくことをお勧めします。

ヤマト運輸及び佐川急便は、ベトナムで独資での子会社を設立しました。これは100%外資で可能な事業内容を戦略的に選別した上で可能となっています。

詳細につきましては、ジャイルズ・クーパー(gtcooper@duanemorris.com)、オットー マンフレッド 倉雄(motto@duanemorris.com) 、又はドウェイン・モリス法律事務所で通常連絡を取っている弁護士へご連絡ください。

日本政府によるTPP詳細の発表 ~ ベトナム、関税撤廃及び外資小売規制を緩和 ~

関税撤廃や投資家と国の間の紛争解決(ISDS)のための手続に加え、環太平洋経済連携協定(TPP)の自由貿易協定のもとでベトナムの注目部分は、経済的ニーズ考査(ENT)の廃止、電気通信業などの規制分野において外資出資比率の緩和、また関税手続の改良が含まれている点です。

TPPの正式文はまだ公表されていません(最終版はまだできていないと思われるため)が、日本政府は最近協定の鍵となるいくつかの要素を明らかにしました。面白いことに、政府はまだ全ての詳細が含まれた最終版ではない「包括的合意」として2015年10月5日にアトランタで合意した条約について言及しています。以下の情報は他国のニュースではそれほど報道されていなく、以下のプレゼンテーションを含む日本政府の情報源を基にしています。

http://www.cas.go.jp/jp/tpp/pdf/2015/12/151020_tpp_setsumeikai_siryou01-1.pdf

1.取引品目の95%関税撤廃

TPPは非常に高レベルの自由化となります。多くの農産物や99.9%の工業製品(例えば、自動車、自動車部品、電子機器、化学製品など)に対する関税が撤廃されます。多くの品目(例えば、ぶどう、キウイフルーツ、ニシン、海老、蟹、キハダマグロ、哺乳豚、小豆、卵のような農産物)に対する関税はTPPが施行されると直ちに廃止されます。一方、いくつかの品目(例えば、オレンジジュース、たばこ、ワインやベニヤ板など)に対する関税はそのままとなり協定発行の3年目から16年目の間にそれぞれ関税撤廃されます。

特定の品目に対して加盟国は輸入割当(例えば日本の米など)を定めることができ、国は国内製品を保護する為に一時緊急措置(いわゆる「セーフガード措置」)を施行することが可能です。

2.一般的取引また投資促進

TPPは他の加盟国でのビジネスや競争また投資をし易くする共通の規則を提供しています。いくつかの一般的な規制には以下が含まれます。

  • 迅速通関(通常通関は48時間以内にそして急送貨物用の「6時間以内」のルール)
  • 知的財産(偽造品)に対する厳格な規律とロイヤリティ率規制の禁止
  • 技術移転、ローカルコンテンツ、投資家のソースコードへのアクセスの要求禁止
  • 短期出張者やその家族へのビザ免除(アメリカとシンガポールを除く)
  • 加盟国入札者へ国内一般調達の公開
  • デジタルコンテンツへの輸入課税禁止と電子商取引に関する一般的な規則
  • TPPにより利益を得る為の中小企業の支援
  • 環境及び乱獲保護措置

3.ベトナムに適用される規則の例

(a) ベトナムはENTを廃止

ベトナムはTPP協定の発行日から5年後にENTの廃止を約束しています。(発行のためには、全ての初期加盟国のGDPの最低85%を占める少なくても6カ国の加盟国がその協定の署名後2年以内に協定を国内法上で承認しなければなりません。)外国の小売業者は、新興中流階級や可処分所得の急増しているベトナムに市場に対し非常に興味を示しています。

ENTは現在、外資系小売事業者(スーパーマーケット、モール、コンビニを含む)に対し2店舗目以降の新店舗開設のためにはライセンス手続きを受けることを必要としています。これが長い間に市場介入への障害とみられています。

(b) ベトナムの電気通信業、地場銀行や娯楽サービスへの外資出資比率規制の緩和

電子通信事業の外資出資比率は最大65%までに規制されていましたが、TPPのもとで外国人投資家は75%までの出資が可能となります。また、地場銀行や映画館、ライブハウス等の娯楽サービスへの外資出資比率も上昇することが予定されています。

(c) 輸出税の禁止及び通関手続きの透明性

ベトナムでは原則として鉱物資源等の項目で新たな輸出関税を新設すること、または維持することが禁じられています。ベトナムは、新しい関税規則を施行する最低60日前にそれを公表し、同様に60日以内に加盟国からの合理的な質問に返答する努力する必要があります。

さらに、TPPは原則としてに全てのTPP加盟国の原産地規則の商品別に統一しています。生産者、輸出者または輸入者が自ら現地証明書を作成する制度を導入します。電子的手続が奨励されます。

4.投資家と国との間の紛争解決メカニズム

加盟国の投資家はベトナム国外での国際仲裁手続を利用し、ベトナム政府に対し法的措置を要請できることになります。

投資紛争解決国際センター(ICSID)、国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)、国際商業会議所(ICC)または他の仲裁規則を適応することができますが、TPPのISDS規定には以下の基本的規則が置かれています。

  • 仲裁廷は事例の判断を下す前に、まず訴えが仲裁廷の管轄内であるか決定し、また被申立国による異議等に返答しなければならない。
  • 非公開手続が好まれる民間仲裁とは異なり、原則として全てのISDS仲裁判断内容は公開されなければならない。
  • ISDS申立て期間を一定の期間に制限する。

しかし、TPPは正当な公共目的を主張し、国家の規制措置の採用を妨げられない様子です。過去に、ベトナムの裁判所はよく公共目的に類似した「ベトナム法の基本的な原則」に相違するとして外国仲裁判断の承認及び執行を拒否しました。従って、ベトナムに対するTPPのISDS判断が今後ベトナムでどのくらい執行されるかは未だ不明です。

上記の情報はTPPの正式文ではなく政府の二次情報源をもとにしております。正式な法的文書の確認後に相違点が現れる可能性もございます。今後も情報を更新するように努力いたします。ご質問等ございましたらお気軽にご連絡ください。

詳細につきましては、オットー マンフレッド 倉雄またはjapanese@duanemorris.comまでお願い致します。

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ベトナムのワークパーミット条件の緩和(予定)

政令第102/2013/ND-CP号の最新改正案は、ベトナムで外国人労働者の雇用条件を緩和しています。現時点ではまだドラフト段階ではありますが、最終版に近づいていることを望んでいます。

新政令で期待される10項目の改正点

1. 「専門家」の定義は改正されます。以下のいずれの外国人が対象となります。

(1) 外国で専門家として書面にて認められている者

(2) 技術者の資格を取得している者あるいは大学での学位以上を取得している者

(3) ベトナムで就労しようとする職務分野で最低5年以上の職務経歴がある者

2.  定期的の外国人雇用の年間雇用計画の提出義務が廃止され、採用の必要性が生じる際にのみ雇用者は労働局の承認を得れば結構です。

3.  労働許可証が免除される外国人は、新たに2項目追加されました。

(1) 30日未満の期限で働くためにベトナムへ入国する外国人

(2) ベトナム国外の学校や職業順連機関で就学中の生徒・学生がベトナムで就労する場合この(2)は海外からの研修生が対象になると思われます。

4.  サービスを提供するためにベトナムへ3か月未満の期間で入国する外国人、または、30日未満働く為にベトナムへ入国する外国人(上記の3、(2)を参考)は、労働許可証取得免除の承認手続きも不要となります。しかし、労働許可証免除期間は労働許可証と同じく最大2年間となっています。

5. 健康診断書は、発行日から12ヶ月以内のものであればベトナム国内外どちらの医療機関で発行された健康診断書でも申請可能です。

6.  現行法では、無犯罪証明書はベトナムで発行されたものと海外で発行されたもの両方が必要な場合がありましたが、今後はどちらか一つ提出すれば十分になる予定です。

7.  申請書類に関してですが、申請者が書類を提出する際に提出するコピーと比較できるよう原本の提示が可能であれば、合法化したコピーの代わりに公証されていないコピーでも書類の申請ができるようになる予定です。

8.  以下の外国人はベトナムで働く為の申請手続きが簡素化されます。

(1)  同じ役職(ポジション)で別雇用者のもとで働く者

(2)  別の役職(ポジション)で同雇用者のもとで働く者

9.  労働許可証の発給にかかる法定期間が10営業日から7営業日に減少されます。

10.  労働許可証の再発行(更新)の申請期間は、現行法上では労働許可証の有効期限切れの5~15日以内でしたが、今後5~45日以内で申請提出期間がより柔軟な条件となっています。

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