これまでのベトナムの経済活力により電力需要の急増が生じています。ベトナムの電力需要は、実際に2桁成長を遂げており、80年代半ばに高度集中計画経済から社会主義志向の市場経済へ移行後、ベトナムは迅速な経済成長を遂げています。これは電力需要において、他の地域や発展途上国でも見たことが無い程かつてない成長をもたらしています。ベトナムの電力需要は2011年から2015年の間に年間14.2pct、また2016年から2020年の間に11.4pct増加すると予測され、電力需要は2030年に8000億Kwhと7倍に増加すると予想されています。
これに関して、ベトナム政府はこの巨大電力需要を満たすために再生可能エネルギーの資源の活用、また拡大する必要性があることを明らかにしています。ベトナムに資源が十分にある水力発電によるエネルギーはいくつか潜在的危険性を示している為、バイオマスエネルギーはベトナムの発展の為の選択肢なのかもしれません。これは農業国であるベトナムの利点を活かしています。バイオマスから持続可能な電力発電の生産量は年間で150万トンになり、700-780MWは発電単独で到達することができます。
一般的な再生可能エネルギー、特にバイオマスエネルギーに関する政府の政策
ベトナム政府は電力開発における再生可能エネルギーの重要性を認識し、ベトナムの電力開発の第7次マスタープランにその目的を反映しています。2020年には総電力供給の4.5%、2030年には5.6%と、再生可能エネルギーはエネルギー源の割合を次第に多く占めつつあります。第7次マスタープランでは再生可能エネルギーの目標率を2020年までに総電力消費量の5.6pct、2030年までに9.4pctと設定しており、政府はバイオマス電力を2020年までに500MW(電力生産の0.6pct)、2030年までに2,000MW(1.1pct)増加させることを目標としています。
さらに、2014年3月24日首相が発行した決定第24/2014/QD-TTg号ではバイオマス発電所を支援するためのメカニズムを提供しています。特に、この決定によるオフグリッドバイオマス発電所に対する優遇策は以下のとおりです。
• 投資資本
O投資家はバイオマス電力計画を行うための投資に関して、国内外の組織または個人から資本の動員が可能です。
Oバイオマス電力計画は投資保証と国の輸出保証に関する法的規制に従い投資保証面で優遇措置をうけることが可能です。
• 輸入税 バイオマス電力計画はそのプロジェクトのために固定資産を作成する商品輸入に対して輸入税が免除されます。輸入品とは、ベトナムで生産できず輸出税と輸入税の規定に従いプロジェクトのために必要な材料、消耗品や半製品のことを意味します。
• 法人税 バイオマス電力計画のための法人税の免除、削減は課税に関する法律に従い投資優遇措置の対象プロジェクトと同じ方法で適用されます。
•土地使用 バイオマス電力計画や送電線、また国家送電網につなげる変電所は土地使用料、土地賃貸料の削減、または免除されます。
オングリッドバイオマス電力計画において、ベトナム電力(EVN)は、1kWh あたり1,220 VNDの現在の価格で全ての植物のバイオマス電力発電を購入することができます。(付加価値税の約5.8USセントを除きます。)この価格はベトナムドン(VND)とアメリカドル(USD)の為替レートの変動に応じて調整されます。
外国人投資家の市場介入
近年、ベトナムでのエネルギー部門では外国人出資比率の制限はありません。外国人投資家は次の許可された投資形態の中から選択できます。100%外資企業、ジョイントベンチャー、BOT契約の形での官民パートナーシップ(PPP)。
バイオマス電力発電所の始動
バイオマス発電所の建設のために、外国人投資家はまず投資許可書の申請をする必要があります。申請手続きは非常に複雑で、多くの国家機関が関与し、時にはいくつか予測できない問題も発生します。しかし、2015年7月1日にベトナムの主に投資環境の管理が目的の新投資法と新企業法が施行され、外国人投資家にとってライセンス手続きでの時間が短縮し、より簡潔になることが期待されています。
建設の前後どちらにしろ、投資家は事業を開始しています。まずはプロジェクト企業を設立し、有能な当局により発行された投資証明書の確保が必要となります。そして、プロジェクト企業は土地リース契約や電力購入契約(PPA)を含む広範囲にわたる重要なプロジェクト契約に関する交渉を締結しなくてはなりません。
PPAのもとで、EVN(または非常にまれな場合は他の買い手)はある一定の期間特別なレートでプロジェクト企業から電気を購入することが可能です。プロジェクトにより将来の収入が決定する為、PPAはおそらく最も重要な契約交渉になると思われます。重要なことはPPAによると、もし電力供給が少量のバイオマスの影響を受けたとしてもプロジェクト企業はペナルティを受けないということです。現時点では電力計画に対して一社(EVN)しか買い手がいないため、交渉は時に一方的になるかもしれません。その上、電力生産者は電気法に従い消費者が中期的に購入価格を再交渉する際、法的に規制された権利を保有しているか考慮する必要があります。電気生産者は計画しているプロジェクトも考慮しなければなりません。
土地売却の承認や補償支払いの面では困難が伴うかもしれませんが、ベトナムでの土地や不動産リースの契約はより簡潔になることが予想されます。通常、この契約の期間は少なくてもローンの返済計画と一致し、さらにローンの返済後に利益を生成できる相当の期間(原則として25-30年)が定められる必要があります。その上、そのプロジェクト企業の土地使用権利が担保として貸主のために提供され、譲渡できるか確認することが重要です。
ベトナムの小規模バイオマス電力計画、どのように正しく構築すればいいのか?
EVNの独占状態やPPAの骨の折れる交渉を考えると、投資家はまだこの問題から解放されていません。発電価格を決定するための方法やPPAの調査手段に関して公布されている第56/2014/TT-BCT号の1.2条によると、EVNとの交渉で重要な必要条件は、プロジェクトがオングリッドかオフグリッドのどちらなのかということです。もし30MW以上の生産量がある、または30MW以下だが電力市場に自主的に参加しようとしているオングリッド計画の場合、投資家はEVNと交渉しなければなりません。つまり、そのプロジェクトがオフグリッドの場合、EVNと交渉する必要がないということになります。
さらに、小規模バイオマス電力プロジェクトを運営するために、投資家は地元の人民委員会または地元の人民委員会により認可されている貿易産業省から発行された電力動作許可書を取得する必要があります。この許可書を取得するために、経営者は買い手とPPA交渉(一般的に署名)しなければなりません。プロジェクトがオフグリッドで再生可能エネルギープロジェクト(バイオマス)の場合は、経営者は人民委員会により指定された販売代理店、及び買い手を交渉することが可能です。
上記の内容に関しまして、さらなる詳細やご質問がもしございましたら遠慮なくomassmann@duanemorris.comまでご連絡ください。オリバー マスマンはドウェイン・モリス・ベトナム法律事務所のディレクターです。
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