ベトナムにおける弁護士 オリバー マスマン:M&Aでの譲渡価格設定

問題点
買収において、原則的に譲渡価格は交渉可能です。残念ながら、対象企業の定款資本(株式)に対し譲渡価格が売り手の出資金額の額面よりも低い金額で合意した場合、ライセンス当局は買収を認めず、承認を拒む可能性があります。買収は次に譲渡価格が「市場価格」または上記株式の「簿価」を反映しているか確認をするために税務当局によって調査されます。税務当局が市場価格または簿価が適切に反映していないと判断した場合、税務管理の為に適切だと考えられる別の譲渡価格について言及します。大きな損失を被っている地場企業は例外です。当事務所の見解としては、ライセンス当局が単に商業的問題である譲渡価格を「確認」できないと法律で明確にすることが重要であり、そして税務当局のみが唯一税務目的の為に譲渡価格の確認ができるようにするべきだと考えています。市場価格または簿価を反映せずに決定された譲渡価格は、ライセンス当局が承認発行を拒み取引を停止する理由ではないということを明らかにしたほうが良いでしょう。
さらに、M&A取引から生じる税金負債はまた投資家たちにとって懸念要素となっています。原則的に、株式の譲渡は標準キャピタルゲイン税率(すなわち、株式譲渡から生じる利益の法人所得税22%)が対象となり、一方で資産売却は付加価値税(VAT)(基本的に10%)がほとんどの場合に対象となります。個々の売り手に対する個人所得税は課税所得と納税者の種類に応じて資本投資及び資本譲渡に対して5%から20%の間の税率が適用されます。公開会社における株式譲渡での利益は総売上高の0.1%が課税対象です。
またベトナムの税規制はオフショアの買収に対するキャピタルゲイン税の適用(もし適用が可能である場合)に関し不透明です(すなわち、オフショアの買い手とベトナムの会社に出資しているオフショアの対象企業の売り手との取引)。ベトナム税務総局(GTD)は以下の全ての条件を満たす場合、以前はベトナムのキャピタルゲイン税は適用してきませんでした。(1)買収が完全にオフショア(2)オフショア対象企業のベトナム国内子会社の資本は全てそのまま残されている(3)オフショアの対象企業及びベトナム国内子会社が買収による利益を受け取らない(4)ベトナム国内子会社の投資証明書を変更しない場合。例として、2012年6月28日付けのGTDの公式文書2268/TCT-CSをご参照ください。しかしながら、近年のベトナム税法の動きでは(具体的には2015年1月から施行された政令12/2015/ND-CP)、GTDは最近のガイダンス(例、2015年4月24日付けのGTDの公式文書1595/TCT-DNL)の一部に関し、オフショアの買収はベトナムのキャピタルゲイン税の対象であるとの見解を述べています。実際にどのようにベトナムのキャピタルゲイン税の適用が施行されているかに関する明確なガイダンスはありません。
ベトナムにとっての将来的な利益と懸念事項
キャピタルゲイン税はM&A取引の構造を計画する為に重要となります。税金が適切かどうか、どのように税金が適用され、適用税率はどのようになっているかなどに関する不透明さは投資家たちに不明確な金融債務を引き起こします。実際に、この曖昧さにより多くの場合移転価格は長期間凍結しています。計画された取引のタイムスケールに影響を及ぼし、取引停止につながる可能性もあります。
さらに、税規制の枠組みに対する曖昧さや税金負債における税務当局の自由裁量はM&A当事者たちにこの問題に対するリスクレベルを決定する際に困難に直面させ、またM&A締結後に延滞税又は脱税疑惑の危険にさらしています。
推奨
当事務所は以下について推奨しております。
• 譲渡価格に対する解釈の調和
• M&A取引から生じる税金負債に対する規制枠組みの明確さと改良
〈ご注意〉こちらの記事は皆様に情報をお届けする目的でのみ作成・掲載しておりますので、法的なアドバイスとして提供・構成することを目的としておりません。詳細につきましては、当法律事務所の注意書きをご一読下さい。
オリバー・マスマンはドウェイン・モリス・ベトナム法律事務所のディレクターです。上記に関するご質問等はomassmann@duanemorris.comまでお気軽にご連絡ください。

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